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Power Platform

【Claude Code】Power Platform 開発を丸投げしてみたら、人間の仕事は「判断」と「手足」だけになった

2026-08-01Power Platform読了 約11分tan

完成した「おれ作 博物館」。展示ホールを歩くように自分の作品を眺められる

この記事を読んでわかること

  • Claude Code を使うと、Power Platform の開発がどんなふうに進むのか
  • その進め方の中で、人間は何をすればよくて、何を AI に任せればいいのか
  • Premium ライセンスなしで、自分のアプリ・フロー一覧を収集する仕組みの作り方(と、そこで踏んだ地雷)

突然ですが、自分が今まで作ったアプリ、把握できていますか?

私は把握できていませんでした。作っては忘れ、作っては忘れ。気づけば環境の中に、名前を見ても中身を思い出せないアプリが溜まっています。

そんなとき、Power Automate には環境内の Power Apps 一覧を取得できるコネクタがあるらしい、という話を知りました。じゃあそれを使えば、自分の資産を管理する仕組みが作れるのでは?

……と思ったものの、調査するのもやってみるのも、正直ちょっと大変です。コネクタの仕様を調べて、Premium かどうか確認して、SharePoint リストを設計して、フローを組んで。考えただけで週末が溶けます。

ということで、Claude Code に丸投げしてみることにしました。

何を作ったか

自分が作った Power Apps と Power Automate の一覧を Power Automate で自動収集して、博物館のように展示するキャンバスアプリを作りました。その名も「おれ作 博物館」です。

なぜ「管理台帳」ではなく「博物館」なのか。これは調査の結果、方針を変えたからです。

一般的なメーカー権限(管理者権限なし)で取得できるのは、環境全体ではなく「自分が所有・共有している分」だけでした。全社の資産を棚卸しする台帳にはできません。

でも、逆に考えると「自分が作ったものしか取れない」なら、いっそそっちに振り切ればいい。管理する台帳ではなく、自慢する博物館にしてしまえ、と。制約をコンセプトに変換したわけです。

結果、収集できたのはアプリ 262 件、フロー 84 件でした。我ながら作りすぎです。

前提・制約

  • Premium ライセンスなしで作る(=標準コネクタと SharePoint リストだけ)
  • 管理者権限なしで動く(一般メーカーのままで完結させる)
  • 人間が細かく口を出すこともできますが、今回はあえて丸投げする

そもそも Claude Code で Power Apps を作るとはどういうことか、という話は以前にも書いています。

あわせて読みたいClaude Codeと意思決定Power Appsを作ったログこの記事を読んでわかること Claude CodeとPower Appsを開発してみて分かったこと どんな風にClaude Codeと作業をしたのか はじめ…この記事を読む →

丸投げの実況

ここからは、実際にどう進んだかを時系列で書いていきます。

1. まず統括役を立てる

いきなり作らせません。最初にやるのは、一番賢いモデルを現場監督にすることです。

私は /delegate という自作スキルを使っています。中身はシンプルで、「統括役のモデルは発明・裁定・最終検品だけをやり、実作業はサブエージェント(Opus / Sonnet / Haiku)に振れ」という分担ルールを恒久化したものです。

/delegate スキルを呼び出して統括体制に入るところ

スキルの中身は、ほぼこの表だけです。

仕事の種類担当
発明・統率・最難関・最終検品メインループ(統括モデル)
調査・実装・執筆・レビューOpus
事務・台帳更新・整理・commit 文面Sonnet
単純機械作業Haiku

これに、運用の型を数行だけ添えてあります。

  • 並列 fan-out:独立したタスクは1メッセージで同時に起動する(直列に待たない)
  • バックグラウンド既定:起動したら待たずに次の仕事を進める
  • 続投 > 新規:同じ成果物の修正は、新しく起こさず同じエージェントに続けさせる
  • プロンプトは自己完結:サブエージェントは会話履歴を見られないので、前提を毎回書く
  • 検品は統括の責任:委任しても品質責任は監督側にある

迷ったら1段安いモデルに振って、検品で品質を担保する。要は、社長が全部自分で手を動かさない体制を最初に作る、ということですね。

なお、サブエージェントをぽんぽん起動するとその分お金もかかります。1タスクいくらだったのかを測る仕組みは、別の記事で作りました。

あわせて読みたい【AI従量課金時代】「このタスク、いくらだった?」に答えられないので、Claude Code に自分の消費を測らせて台帳に記録させたAI コーディングエージェントの従量課金時代、「このタスクにいくら使ったか」を測る仕組みを作りました。Claude Code のトランスクリプトから消費トークンを自己計測して Notion 台帳へ記録。実測15セッション分の生データと、コストの支配項が「書いた量」ではなかった話。この記事を読む →

2. 勝手に調査を始める

ここがすごいところなのですが、「作って」と言うと、まず作り方を調べ始めます。

今回で言えば「Power Apps for Makers / Power Automate Management / Power Platform for Admins の各コネクタは標準(非 Premium)なのか」「一般メーカー権限で取れる範囲はどこまでか」「ページング・スロットリングのハマりどころは」あたりを、調査専門のサブエージェントがバックグラウンドで調べていきます。

調査エージェントをバックグラウンドで起動し、その間に方針を組み立てているところ

しかも頼んでいないのに、CoE Starter Kit(Microsoft 公式の管理キット)との比較まで気を利かせて調べてくれていました。結論は「CoE Starter Kit は保守終了済みで、後継は管理者専用。だからメーカー権限方式の存在意義は『軽いから』ではなく『管理者じゃなくても使えるから』だ」というもの。

自分では思いつかなかった角度で、作る理由を言語化してくれたわけです。ちょっと悔しいですね。

3. 人間の判断を求めてくる

調査が終わると、人間にしか決められないことだけを聞いてきます。今回は3問でした。

  • 台帳のスコープをどうするか(自分の所有分だけしか取れない、という調査結果を踏まえて)
  • 台帳に手動管理列(人間が書く列)を付けるか
  • 見る画面はどうするか

ありがたいのは、選択肢に (Recommended) が付いていることです。迷ったらとりあえずこれを選んでおけば OK です(笑)。私は3問とも推奨どおりに答えました。

人間の判断を求められる場面。選択肢に (Recommended) が付いている

もう一点、地味に優秀だと思ったのが、調査結果を使い捨てにせず、根拠ファイル(一次 URL 付き)として残しているところです。後から「なんでこの判断にしたんだっけ?」と辿れます。

4. たまに、人間が HaaS として働く

とはいえ、Claude Code にもできないことがあります。そういうときは人間に仕事が発注されます。

HaaS(Human as a Service)とは 人間が AI に呼び出されて、主に API キーの取得や物理空間での作業を担うこと。

Claude Code から人間へ作業が発注される瞬間

今回発注されたのは、コネクタの接続の認証でした。実は Power Automate の接続そのものは API から作成できて、しかも 201 Created が返ってきます。ところが中身を見ると認証が通っておらず、使えません。OAuth の同意画面はブラウザ以外に経路がないからです。

なので、AI が出してきた URL を人間がブラウザで開いて、ポチッと同意する。従順な手足です。

渡された URL を開いて接続作業を担当する人間

同じ理由で、空のキャンバスアプリを作って「共同編集を有効にする」のも人間の仕事でした。ここまでやったら、あとは URL を Claude Code に渡して MCP で接続してもらうだけです。

詰まったところ

ここからが記事の本番です。丸投げとはいえ、横で見ているとそこそこ派手に転んでいます。無かったことにはしません。

1. 「1回しか実行していないのに 426 行入る」

一番の山場でした。収集フローを1回だけ実行したのに、SharePoint リストが 426 行になっています。しかしアプリの ID でユニークを取ると 262 件しかない。つまり 164 行が重複です。

面白いのは、2回目・3回目に実行しても1行も増えないことでした。突合ロジック自体は正しいのです。

犯人は、「マップに無ければ POST する」という処理が冪等ではなかったことでした。SharePoint がスロットリングでエラーを返しつつ、実際には書き込みがコミットされていた。そこに Logic Apps の自動リトライがもう1行作る。だから1回の実行の中で二重に増える。重複が、書き込みの集中した環境(251 件)に偏っていたのも、スロットリング説と一致していました。

対策は、アプリ側のロジックではなくデータ層の制約で保証すること。キー列に「重複禁止」(EnforceUniqueValues)を付けて、リトライ側の POST を SharePoint 自身に弾いてもらう構成に変えました。修正後は 262 行 / ユニーク 262 / 重複 0 です。

ここで得た教訓が、今回の一番の収穫でした。

POST は冪等ではない。「事前に存在チェック → 無ければ作る」は、競合とリトライには勝てない。 そして「重複が無いこと」は件数ではなくキーのユニーク数で検査する。

件数だけ見ていると「1回目も2回目も 426 行」なので、冪等に見えてしまうんですよね。実際そう見えていました。

2. 何も言わないのに 1/3 しか取れない

Get Apps アクションは、既定だと 98 件しか返しません。ドキュメント上の既定値は 250 なのに、実測は 98 でした。

しかもエラーは一切出ません。ページングの設定を付け忘れると、静かに 1/3 だけ収集して成功します。これは怖い。設定を入れたら 251 件が返るようになりました。

3. 調査レポートを、実測がひっくり返した

これは AI との付き合い方として面白かった話です。

事前の調査レポートには「フローの所有者は creator から取れる」と書いてありました。ところが実際にデータを取って数えてみると、返ってきた 71 本がきれいに2群に割れていたのです。

件数creatorowningUser
ソリューションフロー51nullあり
非ソリューション(マイフロー)20ありnull

つまり所有者のフィールドがフローの種別で排他になっている。レポートどおりに実装していたら、資産の主力であるソリューションフロー 51 本すべてで、所有者が空欄になっていました。

調査は当たりを付けるためのもので、正解は実測でしか確定しない。 ここは AI の調査結果でも、人間の記憶でも同じですね。

4. 部品が丸ごと消える(キャンバスアプリ編)

最後にキャンバスアプリ側でも一つ。展示写真をアップロードする画面を作ったのですが、添付ファイルの UI が画面に丸ごと出てきませんでした。

原因は、フォームの幅でした。既定の 292px がデータカードの最小幅を下回っていて、カードごと描画されていなかったのです。320px に広げたら普通に出ました。エラーも警告も出ないので、これも気づきにくいタイプです。

結局、人間は何をしたのか

丸投げした結果、私がやったことを並べてみます。

  1. 最初に「こういうものが作りたい」と言った
  2. 「自分の所有分しか取れないなら、いっそ博物館にしよう」と方針を決めた
  3. 3問の質問に (Recommended) で答えた
  4. ブラウザを開いて接続の同意を押した(HaaS)
  5. 空のキャンバスアプリを作って共同編集をオンにした(HaaS)
  6. できたものを実機で触って「写真も飾りたい」と言った

コンセプトの裁定と、手足。 それだけです。コネクタの仕様調査も、フローの実装も、重複バグの切り分けも、私は横で見ていただけでした。

逆に言えば、この6つはAI には決められない・できないということでもあります。特に2番の「制約をコンセプトに反転させる」は、私が一番楽しかったところでした。ここを AI に譲ってしまうと、たぶん面白くない管理台帳ができあがっていたと思います。

この「判断と手足だけ担当する」進め方は、Power Platform に限りません。CAD を一度も触らずに3Dモデリングしているときも、やっていることはほぼ同じでした。

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まとめ

  • Power Automate の標準コネクタだけで、自分の Power Apps・Power Automate は収集できる(Premium も管理者権限も不要
  • ただし取れるのは自分の所有・共有分だけ。そこは制約として受け入れて、コンセプトごと寄せてしまうのが早い
  • Claude Code に丸投げすると、調査 → 裁定の依頼 → 実装 → 検証まで走る。人間の仕事は「判断」と「手足」に寄っていく
  • とはいえ転ぶときは派手に転ぶ。件数だけ見て安心しない(重複はキーのユニーク数で数える)

自分の作ったものが博物館に並んでいるのを眺めるのは、想像よりずっと良かったです。262 件も作っていたのかと、素直に驚きました。皆さんもぜひ、自分の環境を棚卸ししてみてはいかがでしょうか。(数を見て「これ全部メンテするのか」と青ざめる可能性はあります)

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