【connecting the dots】趣味で探求してた「ネットワーク科学」が、Code Apps で回収された話
この記事を読んでわかること
- 個人的に探求していたテーマが、まったく別の実務ツールの中で思いがけず”回収”される瞬間の快感
- 普通の「プロジェクト管理アプリ」に六次の隔たり(Six Degrees of Separation)を入れると何が起きるか
- 「繋がりがありません」で終わらせない――無いなら作るという建設現場的な発想
今回いちばん伝えたいのは技術の話ではありません。「昔から気になって勝手に勉強してたことが、思ってもみなかった場所で中とハマる」という体験が、なんか良かった、という話です。
4月からの寄り道が、7月に回収された
今年の春先、私はなぜか「ネットワーク科学」にハマっていました。イノベーションが人から人へどう伝播するかのエージェントシミュレーション、意見の集約アルゴリズム(Polis)、そして有名な「六次の隔たり」――世界中の誰とでも、知人を6人たどれば繋がれるってやつです。
これは社内のイノベーションの伝播予測、そして非効率ないろんな施策をええ感じにするのに使えるんじゃないかと思いました。
それが7月、「部署と組む仕事=プロジェクトを管理するアプリを作りたい」という、まったく別の、これまた個人的な取り組みの中で偶然につながりました。
「プロジェクト管理アプリ」を作っていたはずが
作っていたのは、真っ当な業務アプリです。Power Apps(Code Apps)で、
- どのプロジェクトが、どの部署と組んで動いているか
- 主担当・副担当・先方担当・先方責任者・コンサルを、社内ユーザー検索から役割の枠へドラッグ&ドロップで配置(体制図)
- 何が起きたか(インシデント、対応、出来事)をMarkdownのタイムラインで蓄積
- チームリーダーが「今どこがヤバいか」を一目で見るダッシュボード
この辺までは、よくある「ちゃんとした管理ツール」です。(てかなんで既に使ってなかったんだろ)

ここに私は、部署と部署、人と人の”つながり”を可視化するネットワーク図を足したくなった。「同じプロジェクトに入った人同士は繋がる。何度も一緒にやってる人は、線が太くなる」。ここまでは、まあ、可視化として自然です。
問題は、そのネットワーク図を眺めていたときにふと降ってきた発想でした。
「これ、六次の隔たりできるじゃん」
プロジェクト管理アプリに六次の隔たりを入れる人、おる?
たぶん、いません。少なくとも私は見たことがない。(入れる意味があるかは不明)
でも、社内の人間関係って、まさにこれなんですよ。「あの人に相談したいことがあるんだけど、直接の面識はない」。そんなとき、自分から相手まで、誰を経由すれば繋がれるのかが分かったら――しかも「実は昔あのプロジェクトで一緒だったベテランのおじさんが、その人と繋がってる」みたいなルートが見えたら――「じゃあ、あのおじさんに間に入ってもらおう」という社内のネットワークが生まれる。
これは、私が春に勉強していた「六次の隔たり」そのものです。
というわけで、実装しました。ネットワーク画面で「起点=自分」「目標=繋がりたい人」を選ぶ(図の人をクリックでもいい)と、最短ルートが朱色で浮かび上がる。「あなた →(顧客満足度調査で一緒だった)→ 小林さん →(別の案件で一緒だった)→ 佐々木さん」。そして「まず小林さんに『佐々木さんに繋いでほしい』と相談」という次の一手まで出す。中身は、グラフの最短経路探索(BFS)です。春にノートで描いていたやつが、そのままアプリの機能になりました。
全て架空のデータです。

「繋がりがありません」で終わらせたくなかった
ここで、もうひとつ大事にしたことがあります。
最初、繋がっていない相手を選ぶと「繋がっていません」とだけ出るようにしていました(Claude Code が)。でも、それを見て違和感がありました。それって学校の発想だな、と。「繋がりがありません、どうすればいいですか?」「じゃあこうしましょう」――誰かが答えを持っていて、教えてくれる。
社会はそうじゃない。無いなら、作るんですよ。直接アポを取れば、その瞬間に繋がりは生まれる。そうやって道を作ってきた先人たちの恩恵で、私たちは今の便利な世界に生きている。
道がないなら作ればいいし。タイヤがハマるならごにじゅうの鉄板を敷けばいい。電気がないなら分電盤設置して、キャプタイヤに行き先表示つけつつ、電気使えばいい。ただそれだけです。
だから、繋がっていないときの表示をこう変えました。
✨ NEW CONNECTION
〈相手〉さんへの道は、まだありません。
でも繋がりは、待つものじゃなく、作るもの。直接アポを取れば、あなたが最初の橋になります。
【5】人ぶんの新しい世界が拓ける
道がないなら、作ればいいじゃないか。
そして図の上には、自分から相手まで「これから作る道」を点々(破線)で引く。相手の向こう側にある、まだ繋がっていない集団が朱金色で浮かび上がる。「ここに橋を架ければ、この世界が全部あなたのものになる」というのが、目で見える。
「できない、できない」で止まっていたら、何も始まらないし、進まないし、終わらない。作る側に回る。それを、アプリの一機能として演出にしてみたかった。

点と点は、いつか繋がる
スティーブ・ジョブズのスタンフォードのスピーチに、「点と点はいつか繋がる(connecting the dots)」という有名なくだりがあります。今この瞬間、点と点が繋がるとは分からない。でも将来を振り返ったときに、確かに繋がっていたと分かる。だから、今やっていることを信じるしかない――という話。
まさに今回がそれでした。4月に「なんか面白いな」で寄り道した点(ネットワーク科学)と、7月に「業務アプリを作ろう」で打った点(プロジェクト管理)が、思ってもみなかった角度でカチッと繋がった。狙って繋げたわけじゃない。興味を持ったことに、ただ真っ直ぐ突っ込んでいったら、勝手に繋がった。
めっちゃおもろい。誰かに言われたことをするよりも、自分の好奇心や興味のままに。
「役に立つかどうか」を先に考えていたら、たぶん春にネットワーク科学なんて勉強していません。でも、そういう”回収されるか分からない寄り道”こそが、いつか一番おもしろい形で返ってくる。だから私は、これからも気になったものには寄り道し続けようと思います。
今回の私のつながりもネットワーク科学なのかもしれません。
まとめ
- 個人的な探求(ネットワーク科学)は、狙っていなかった実務ツール(プロジェクト管理アプリ)の中で回収された。connecting the dots は、後から振り返って気づくもの
- 六次の隔たり=グラフの最短経路探索を業務アプリに入れると、「あの人に繋いでもらう」という社内ネットワークが動き出す。

実関わったことがあるけど、犬猿の仲なリンクもたくさんあると思います。
そこは繋がっているように見えても、大量の地雷が埋まっています。
現実はそんなもんだと思います。それも人間らしくて良いですね。
